家計簿は「記録」ではなく「把握」のための道具
まず一番大事なことから。家計簿の目的は、きれいに記録をつけることではありません。「毎月いくら入ってきて、いくら出ていくのかを把握し、使い方を自分で決められるようになること」です。
1円単位で合わせる必要はありません。レシートを全部取っておく必要もありません。ざっくりでいいので「全体がつかめている」状態を作ること。それができれば、家計簿は月に1回、30分の作業で十分です。
あなたはどっちのタイプ?
家計簿の始め方は、「過去の支出データがあるかどうか」で最初の一歩だけ変わります。自分に当てはまる方から読み進めてください。
新婚・新生活
これから生活を始める人
ふたりの生活はこれから。過去の実績データがまだない
タイプ② 👶子育て世帯で
生活費を把握できていない人
生活実績はあるけれど、何にいくら使っているか分からない
💒 タイプ①:実績がない人は「仮予算方式」
過去のデータがないので、最初から正確な予算は立てられません。それで正解です。「仮の予算を置いて、3ヶ月暮らしながら直していく」のがタイプ①のやり方です。
- ふたりの手取り収入を確認する
給与明細を見て、額面ではなく「手取り(振込額)」を合計します。ボーナスと残業代を除いた、毎月安定して入る手取りで考えるのがコツです。 - モデル比率で仮予算を立てる
下の表を目安に、手取りに比率をかけて各費目の仮予算を作ります。正確さより「とりあえず全費目に枠がある」ことが大事です。 - 1〜3ヶ月、ざっくり記録する
家計簿アプリやクレカ明細で「実際いくらだったか」を集めます。仮予算とのズレは責めない。ズレを知ることが目的です。 - 3ヶ月後、実績で予算を作り直す
これであなたの家庭専用の「本当の予算」が完成します。以降はタイプ②と同じ運用になります。
手取りに対する仮予算の目安(夫婦ふたり世帯):
| 費目 | 目安比率 | 手取り30万円の場合 |
|---|---|---|
| 住居費 | 25〜28% | 約8万円 |
| 食費 | 14〜15% | 約4.5万円 |
| 水道光熱・通信 | 8% | 約2.4万円 |
| 日用品・雑費 | 5% | 約1.5万円 |
| おこづかい(ふたり分) | 10% | 約3万円 |
| 交際費・レジャー | 6% | 約1.8万円 |
| 保険・その他 | 6% | 約1.8万円 |
| 貯蓄(先取り) | 20〜25% | 約7万円 |
理想は、将来的に夫の収入+妻のおこづかい程度で暮らせる予算を組んでおくこと。出産では、妻が働けない期間や収入が減る期間があり得るからです。共働きの間に無理に切り詰める必要はありません。ただ、「どこを見直せば片方の収入でも暮らせるか」を想定し、準備しておくことが安心につながります。
👶 タイプ②:実績がある人は「棚卸し方式」
あなたにはすでに「過去の実績」という宝の山があります。新しく記録を始める前に、まず過去2〜3ヶ月分を振り返って現状を知るのがタイプ②のやり方です。記録ゼロでも、データは意外と残っています。
- データをかき集める
通帳(記帳またはアプリ)、クレジットカード明細、キャッシュレス決済(PayPay・楽天Payなど)の履歴、ネットスーパーの購入履歴。この4つでほとんどの支出は復元できます。 - 先月1ヶ月分を「ざっくり5分類」する
①住居・固定費 ②食費 ③日用品・子ども費 ④娯楽・交際費 ⑤その他。細かく分けないのがコツ。完璧な分類より「全体像」が大事です。 - 手取り収入と比べる
「手取り − 支出合計 = 本当の貯蓄額」。ここで赤字やカツカツが判明しても大丈夫。現状を知った時点で、家計改善の半分は終わっています。 - 一番大きい費目から1つだけ見直す
全部を一気に節約しようとすると挫折します。金額の大きい固定費(通信費・保険・サブスク)から1つだけ。変動費(食費)を削るのは最後でいいんです。
ATMの引き出し額を「使途不明金」としてまとめてしまってOKです。「毎月◯万円引き出して、何に使ったか分からない」——それが分かっただけでも大きな前進。来月から現金払いの分だけレシートを1つの袋に入れておけば、翌月には中身が見えてきます。
私も2度の産休・育休と時短勤務を経験しました。おすすめは、お買い物をしたらその都度、家計簿アプリに記録することです。分類は細かくなくて大丈夫。食費の中に日用品が入っていても、金額の割合が多いほうで記録してしまうくらいで続きます。どうしても自分で記録するのが難しい場合は、マネーフォワード MEなどで明細を自動集計する方法もあります。
ここからはふたりとも同じ:家計管理の共通ルール
スタートの仕方は違っても、ここから先は全員共通です。私が25年続けてきて「これだけは外せない」と思う4つのルールを紹介します。
ルール1:貯蓄は「先取り」、残ったら使う
「余ったら貯金しよう」では、絶対に余りません。給料日に自動で貯蓄用口座・積立に移す設定をして、残ったお金で生活する順番に変えます。金額は手取りの2割が理想ですが、まずは5%でも構いません。「自動で貯まる仕組み」を作ることが目的です。
ルール2:費目は少なく、ざっくりと
費目が10個以上ある家計簿は続きません。固定費(家賃・光熱費・通信・保険)+変動費3〜4個(食費/日用品・子ども費/娯楽/その他)くらいで十分。迷ったら「その他」に入れていい、というルールにしておくと挫折しません。
ルール3:振り返りは月1回・30分だけ
使ったらその場でアプリに記録し、月に1回・30分ほどで収支を確認します。このときに、つけ忘れを補足して予算とのズレを見てください。大事なのは反省会にしないこと。「使いすぎた…」ではなく「来月はどの枠を増やす?減らす?」と、次の設計の話をしてください。
ルール4:夫婦で「見える」状態にする
どちらか一人が抱え込む家計管理は、長い目で見ると必ず苦しくなります。共有アプリでも、月1回の「家計ミーティング」でも形は何でもいい。ふたりとも家計の全体像を知っている状態を保つこと。これは金額の問題ではなく、将来の安心の問題です。